「ニートから正社員になれるのだろうか」と不安に感じている方は少なくありません。結論から言うと、ニートから正社員になった人は数多くいます。ただし、動き出す年齢によって難易度が大きく変わるというのも事実です。
この記事では、公的機関の調査データをもとに、ニートが正社員になるための具体的な進め方を、年代別に解説します。
ニートとは?定義とフリーターとの違い
厚生労働省は「ニート」を、15〜34歳のうち、家事も通学もしていない非労働力人口(働いておらず、求職活動もしていない状態)の人と定義しています。一方、アルバイトやパートをしている人は「フリーター」として区別されます。
つまり、「働いていない・求職活動もしていない」状態がニート、「非正規で働いている」状態がフリーターという整理です。どちらも正社員を目指すうえでのスタートラインとしては近い立場にありますが、就職活動の進め方は多少変わってきます。
ニートのまま年齢を重ねるとどうなる?データで見るリスク
「そのうち動けばいい」と先延ばしにしたくなる気持ちはわかりますが、年齢を重ねるほど正社員への移行が難しくなることは、公的データからも裏付けられています。
年齢が上がるほど、正社員への移行率は下がる
労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によると、学校卒業時に無業・非正規だった人が、その後正社員になった割合は次の通りです。
| 年齢層 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 15〜19歳 | 37.3% | 29.9% |
| 20〜24歳 | 38.4% | 32.7% |
| 25〜29歳 | 40.1% | 25.5% |
| 30〜34歳 | 34.3% | 18.1% |
| 35〜39歳 | 29.8% | 15.5% |
| 40〜44歳 | 27.1% | 15.6% |
(出典:労働政策研究・研修機構「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状」)
20代のうちは、スキルや経験よりも「ポテンシャル」を評価する採用が多いため、比較的移行率が高い一方、30代に入ると数字がはっきりと下がっているのがわかります。「いつか動こう」と先延ばしにするほど、統計上は不利になっていくということです。
正社員と非正規雇用では、賃金の伸び方が大きく異なる
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、正社員と非正規社員の月収は、勤続年数を重ねるごとに次のように差が開いていきます。
- 勤続0年目:正社員 平均30.5万円/非正規 平均27.2万円(差は約3万円)
- 勤続10年経過後:正社員 平均40.0万円(0年目比130%)/非正規 平均26.9万円(0年目比98%、ほぼ横ばい)
正社員は勤続年数とともに昇給していく一方、非正規雇用は年数を重ねてもほとんど収入が変わらない傾向があります。この差は、退職金や厚生年金の受給額にも影響し、将来的な生涯賃金の差につながっていきます。
こうしたデータを踏まえると、「いつかは正社員に」と考えているなら、できるだけ早いタイミングで動き出すことが、結果的に負担の少ない選択になります。
【年代別】ニートが正社員になるための進め方
20代前半〜半ば:ポテンシャル採用を活かせる時期
20代前半は、多くの企業が「未経験者を育てる」前提で採用しており、正社員への移行率もっとも高い時期です。職歴やスキルよりも、面接での受け答えや意欲を重視される傾向があるため、いきなり正社員を目指しても十分にチャンスがあります。
20代後半:空白期間の説明準備がカギ
20代後半になると、「なぜこれまで働いていなかったのか」を採用担当者に聞かれる場面が増えてきます。空白期間を隠したりごまかしたりせず、療養・家庭の事情・就職活動の失敗など、事実をベースに前向きな説明ができるように準備しておくことが重要です。
30代:いきなり正社員 vs 契約社員・派遣を経由するルート
30代になると、JILPTのデータが示す通り、いきなり正社員として採用されるハードルは20代に比べて上がります。そのため、次の2つのルートも選択肢に入れておくとよいでしょう。
- 契約社員として入社し、正社員登用を目指す
- 派遣会社に登録し、派遣先で経験を積む
ただし注意点があります。一般的な派遣契約からそのまま正社員に登用される確率は、決して高くありません。理由は、派遣先企業が「直接雇用に切り替えるなら、最初から正社員採用で基準を厳しくしたほうがよい」と考える傾向があることと、派遣として働くうちに「このままでもいいか」と現状に慣れてしまうケースが多いためです。
正社員登用を前提に派遣を活用するなら、最初から「紹介予定派遣」の求人を選ぶほうが現実的です。紹介予定派遣は、一定期間の派遣就業を経て、双方合意のもとで直接雇用に切り替わることを前提にした制度のため、通常の派遣より正社員化への道筋が明確です。
派遣会社選びに迷ったら、こちらの記事も参考にしてください。
派遣会社の選び方とおすすめ人気派遣会社5選
正社員になるための具体的なステップ
- 自己分析・興味のある業界の整理:得意なこと、苦にならない作業、これまでの経験を棚卸しする
- 応募書類の準備:履歴書・職務経歴書は空白期間を隠さず、学んだことや取り組んだこと(資格取得、家事、療養など)を前向きに書く
- 空白期間の伝え方を準備する:面接で聞かれることを前提に、簡潔かつ正直に答えられるように整理しておく
- 面接対策:模擬面接などを通じて、受け答えに慣れておく
これらを一人で進めるのが不安な場合は、就職活動のノウハウを持つ第三者の力を借りるのも一つの方法です。
20代でニート・フリーターから就職を目指す方には、こちらの記事もおすすめです。
20代フリーターの就職活動におすすめの転職エージェント
就職活動で使うサービスの選び方
就職活動で使えるサービスにはそれぞれ特徴があり、どれか一つが絶対的に正解というわけではありません。
| サービス | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ハローワーク | 求人数が多いが、ニート・未経験者向けの求人かどうかの見極めが自分に委ねられる | 自分で求人を選別する時間がある人 |
| 一般の転職サイト | 求人数は豊富だが、経験者向けの求人も多く混在する | ある程度の職務経験がある人 |
| 20代専門の転職エージェント | ニート・フリーターの支援実績があり、求人の見極めやアドバイスを受けられる | 初めての就職活動で不安が大きい人 |
「自分で求人を選別する自信がない」「面接で何を話せばいいかわからない」という場合は、専門的なサポートを受けながら進めるほうが、遠回りを避けられます。
よくある質問
Q. ニート期間が長くても正社員になれますか?
A. 可能性はありますが、JILPTのデータが示す通り、年齢が上がるほど移行率は下がる傾向にあります。期間の長さそのものより、「今から動き出すかどうか」が重要です。
Q. 職歴がなくても書ける自己PRはありますか?
A. アルバイト経験がなくても、学生時代の活動や、資格取得に向けた学習など、取り組んできたことを具体的なエピソードとして整理すれば自己PRの材料になります。
Q. ハローワークだけで就職活動を進めても大丈夫ですか?
A. ハローワークだけでも就職は可能ですが、ニート向けの求人かどうかの見極めは自分で行う必要があります。不安がある場合は、他のサービスと併用するのがおすすめです。
Q. 何歳までなら「いきなり正社員」を目指せますか?
A. 明確な年齢の線引きはありませんが、データ上は20代のうちに動き出すほど正社員への移行率が高くなっています。30代以降は、契約社員や紹介予定派遣を経由するルートも選択肢に入れておくとよいでしょう。
まとめ
ニートから正社員になることは、データからも十分に可能だとわかります。ただし、動き出す年齢が早いほど有利という事実も見過ごせません。
「一人で進めるのは不安」という方は、無理に自力だけで抱え込まず、専門的なサポートを活用しながら、自分に合った就職活動の進め方を見つけていきましょう。

