求人情報を見ていると『正社員登用あり』という記載を目にすることがあります。
正社員登用制度とはアルバイトやパートなどの非正規社員が正社員へと移行できる制度のことで、飲食や販売などに多くみられます。中小企業に多いですが、最近ではスタバやロフトなどの大企業でも社員登用制度を設けるようになりました。
職場での立場は、正社員よりもパート社員の方が低く見られがちです。しかし、優秀なパート社員は、正社員よりも良い仕事をしていることが珍しくありません。優秀な人材から雇用条件を上げても確保したいですから、企業が正社員登用と言うシステムを設けるのは当然ともいえるでしょう。
正社員を目指すフリーターにとっては希望を持たせてくれるシステムですが、実際は注意しなければならない点がいくつかあります。
実際に正社員になれる条件とは?
パート社員が正社員登用される場合、主に以下の要件を全て満たす必要があります。
- 日頃から自分のスキルを磨いている
- 社員に気に入られる
- ある程度長い期間で働いている
- 正社員の人手が足りないというタイミング
どれか一つではなく、全て満たしていなければなりません。
優秀だという必須条件の他に運という要素がなければいけません。特に4つ目では運が大切です。
正社員登用されるケースは『○○さんはアルバイト・パートだけど優秀だから正社員にしよう』ではなく『業務拡大のために正社員を増やしたい。優秀なパートさんがいるから正社員にしよう』です。
いくらあなたが優秀だとしても、人手不足になっていなければ正社員登用するメリットは少ないです。なぜなら、優秀なままパートとして働いてもらった方が企業にとっては得だからです。
正社員登用制度のメリット
正社員登用制度のメリットは、職場の雰囲気や仕事内容を知っているために入社後のギャップがないということです。
入ってみたらブラック企業だったなんてことはありませんし、人間関係に悩むことも少ないのは良いですよね。
正社員登用制度のデメリット
一番のデメリットは正社員に登用される保証がないということでしょう。正社員登用制度は法律で定められている制度ではありませんから、正社員登用を実地しなくても企業側には問題はありません。
2年程度の勤続年数を経たあとに正社員登用の審査を実施する企業が多いです。
正社員就職において最も大切なのは若さですから、正社員という餌で釣られてフリーター生活が長引いてしまう可能性もあります。
正社員登用が実施されないケースも
正社員登用の可能性があるかどうかは企業によって全く異なります。
入社面接の時点でここ数年間の実績と登用方法を確かめておくべきなののはもちろんですが、実際の正社員登用率は入社するまで分かりません。面接時や入社当初に聞いていたこととと現状が大きく異なっていることだって珍しくありません。
面接官から『評価方法や選考方法が明確ではない』との回答があれば正社員登用の可能性は低いと判断した方が賢明でしょう。
もし正社員になれなかったら、なんのために入社したのか分かりませんよね。あなたにとっては非常に勿体ない時間を過ごしているわけですし、企業からすればただの使い捨て要因です。
可能性がない場合が大半
パートでも実績を積めば正社員登用される道があるのは確かです。しかし、正社員登用を狙って長く働くのはお勧めできません。
郵便局のように正社員登用の実績が豊富な企業もありますが、大半の企業では正社員登用制度は極稀なケースです。よっぽど正社員登用率が高くない限り、フリーター生活が長引いてしまう可能性が高いことに注意しておきましょう。
年齢を重ねれば重ねるほど転職が難しくなります。『正社員登用を目指していたが、気づけば正社員にならないまま40代になっていた』なんて本末転倒です。
正社員を目指すなら今すぐ転職活動した方がよっぽど利口なんですよ。
紹介予定派遣と正社員登用制度の比較
正社員登用制度と似たような制度として『紹介予定派遣』があります。
紹介予定派遣は正社員になることを前提とした派遣システムです。労働者派遣法によってルールも明確に定められていますし、採用しなければ企業にとって損となります。
最短で3ヶ月間の派遣期間後に正社員になれる可能性がありますし、なにより責任ある仕事を任せられますから、経験を積んでスキルアップしていくことができます。
一方で、正社員登用制度はあくまでもアルバイトとして働くことが前提です。とても優秀なアルバイトなら正社員登用するメリットはありますが、正社員として採用せずアルバイトのまま働いてもらった方が企業にとっては得です。
こんな会社なら正社員登用を信じて良い
現実問題として正社員登用は難しいですから「正社員登用あり」を信じて何年も働くのは危険です。
正社員登用制度の選考後に不採用となった場合、なぜ不採用となったかをできるだけ細かく聞きましょう。
正社員登用が見送られたとしても、人事担当から「またチャレンジしてほしい」と言われたら引き続き勤務する価値があります。
不採用理由の説明が大雑把だったり、再エントリーが不可能な場合は諦めるた方が良いですね。
おわりに
正社員登用制度があるということは、制度を作った当初はアルバイトから社員登用した従業員がいたのだと思います。
しかし、正社員登用制度を信じて真面目に働いた結果、年齢を重ねただけで就職のチャンスが少なくなっていたケースは珍しくありません。
そもそも正社員が欲しい企業なら初めから正社員を募集しています。
正社員を目指すならば「正社員登用制度あり」ではなく、はじめから正社員募集している企業を狙って就職活動することをお勧めします。