フリーターを続けていると、どうなるでしょうか?「末路は悲惨」という言葉を見ることもあるかもしれません。
結論から言うと、フリーターの将来は、あらかじめ決まっているわけではありません。ただし、収入、就職のしやすさ、年金の3つで、年齢とともに差が開きやすいのは、公的なデータでも確認できます。
この記事では、不安を煽るのではなく、公的なデータと制度の仕組みをもとに、フリーターを続けた場合に起こりやすいことと、選べる道をまとめました。年金については、運営者自身が、フリーター時代に免除申請をした経験も書いています。
フリーターの「末路」は、何で決まる?
「末路」と言われる状況は、主に次の3つの組み合わせで決まります。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 収入 | 年齢を重ねても、賃金が伸びにくいか |
| 就職のしやすさ | 正社員を目指すとき、年齢や期間が壁になるか |
| 社会保障 | 年金や社会保険で、差が出るか |
どれも、20代・30代のうちなら、対策が取れるものです。以降で、一つずつ確認します。
フリーターを続けた場合に起こりやすいこと
収入が伸びにくい
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(令和6年)では、正社員の賃金は年齢とともに上がる一方、正社員以外の賃金は、年齢を重ねてもほぼ横ばいという傾向が示されています。20代では差が小さいものの、30代以降に差が開いていきます。
生涯賃金で見ると、差はさらに大きくなります。労働政策研究・研修機構(JILPT)の「ユースフル労働統計2025」では、大卒でフルタイムの正社員を60歳まで続けた場合の生涯賃金は、男性が約2億6,280万円、女性が約2億990万円です。一方、フルタイムの非正社員を続けた場合は、男性が約1億5,040万円、女性が約1億2,490万円とされています。
フリーター期間が長いほど、正社員になりにくい
JILPTの「労働政策研究報告書No.213」によると、フリーター期間が1年以内の人は約69%が正社員になれたのに対し、5年以上では約32%まで下がっています。
「いつか正社員に」と考えていても、期間が長くなるほど、選択肢が狭まる傾向があるということです。
年金の差が出る
国民年金だけに加入している場合、受け取れる年金は、満額でも月に約6万9千円です(令和7年度)。厚生年金に加入していた人の平均受給額は、月に約15万円です。
この差の詳しい仕組みと、今できる対策は、次の節で説明します。
社会的信用で、不便が出ることがある
雇用や収入が不安定だと、賃貸契約、クレジットカード、ローンの審査で、不利になる場合があります。収入が安定している正社員と比べると、選べる選択肢が減ることがあります。
雇用が不安定になりやすい
アルバイトは、多くが期間を定めた雇用契約です。契約が更新されなかったり、会社の事情でシフトが減ったりすると、収入が急に減る可能性があります。
家族の状況が変わったときの影響
実家で暮らして、間接的に援助を受けている場合、家族の収入が減ったり、介護が必要になったりしたときに、生活が変わることがあります。
年金・社会保険の現実と、今できる対策
フリーターの将来に関わる不安のうち、特に誤解されやすいのが年金です。
国民年金は、払えなくても「免除」がある
国民年金の保険料は、毎月約1万7千円台です。収入が少なくて払えない場合、何もせず放置すると「未納」になりますが、申請すれば、保険料の免除や猶予を受けられる制度があります。
- 全額免除・一部免除:所得が少ない場合に、保険料の全部または一部が免除される
- 納付猶予:50歳未満で所得が少ない場合に、納付が猶予される
- 学生納付特例:学生が対象
申請の窓口は、市区町村の役所や年金事務所です。
未納と免除は、まったく違う
免除や猶予の承認を受けた期間は、次の点で、未納と大きく違います。
| 免除・猶予(承認あり) | 未納(届出なし) | |
|---|---|---|
| 障害年金・遺族年金の要件 | 保険料を納めた期間と同じように、要件の判定で数えられる | 要件を満たせず、受け取れない場合がある |
| 老齢年金の受給資格期間(10年) | 算入される | 算入されない |
| 将来の年金額 | 全額免除は一部が反映。納付猶予は反映されない | 反映されない |
| 督促など | なし | 督促を受ける場合がある |
※内容は制度の一般的な説明です。詳しくは、日本年金機構の公式サイトや年金事務所で確認してください。
ここが大切なポイントです。払えないときは、黙って未納にせず、免除や猶予の申請をすることで、万が一のときの備えは守られます。
免除した分は、後から納められる(追納)
免除や猶予を受けた期間の保険料は、10年以内なら、後から納める「追納」ができます。追納すると、将来の年金額に反映されます。ただし、3年度目以降は、加算額が付く場合があります。
運営者の体験:免除申請をして、その後に厚生年金のある仕事へ
私自身も、フリーターだった時期があります。22歳から29歳まで、国民年金の保険料は、会社員だった期間を除いて、免除の申請をして、承認を受けていました。
保険料は納めていませんでしたが、正しく申請していたため、未納扱いにはなりませんでした。督促などの手続きに悩まされることもなく、万が一のときの「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」を受け取る権利も、確保されていました。
一方で、免除を受けた期間があるため、将来の老齢年金は、満額より減る見込みです。過去10年分を追納できる制度があることは知っていますが、私は追納していません。
その後、厚生年金のある仕事に転職しました。厚生年金に加入している期間は、将来の受給額が増える見込みです。減る分をすべて取り戻せるわけではありませんが、社会保険のある仕事に就いたことで、将来の年金の見通しは、確実に良くなりました。
この経験から伝えたいことは2つです。
- 払えないときは、未納で放置せず、免除や猶予を申請する
- 将来の年金を増やすなら、厚生年金のある仕事に就くのが、一番の近道になる
なお、免除を受けた場合の将来の影響は、人によって違います。ご自身の記録は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。
厚生年金に入れるのは、正社員だけではない
会社で働く人は、条件を満たせば、パートやアルバイトでも厚生年金に加入できます。目安は、週の労働時間と月の労働日数が、正社員の4分の3以上であることです。条件は、会社の規模などによって、拡大が進んでいます。
ただし、日雇いや短期のアルバイトでは、加入できない場合が多く、年金や健康保険は、自分で全額を負担することになります。
正社員は、社会保険料の半分を会社が負担する
厚生年金や健康保険の保険料は、会社が半分を負担します。同じ手取りの金額に見えても、将来受け取れる年金や、病気・けがのときの保障に差が出ます。
年代・属性別に見る「末路」
20代:差が小さく、選択肢が最も多い
20代は、正社員との賃金の差が小さい時期です。ポテンシャルを評価して、未経験者を採用する企業も多く、選択肢が最も広い時期です。
30代:差が開き始める時期
30代以降は、賃金の差が開く傾向があります。経験やスキルを求める求人が増える一方、未経験を受け入れる求人も、まだ多くあります。早めに動くほど、選択肢は広がります。
40代:支援制度の活用がポイント
40代からの就職は、条件が厳しくなる傾向があります。ただし、年齢が高めの人を対象にした支援もあります。たとえば、ハローワークの専門窓口や、地域若者サポートステーション(サポステ)などです。
女性:収入と将来設計を、早めに考える
JILPTのデータでは、女性の生涯賃金は、男性と比べて低く、正社員と非正社員の差も大きく出ています。配偶者の扶養に入る場合も、条件があるため、一人で生活する場合の将来も、考えておくと安心です。
高卒:年齢の若さを、強みにできる
フリーターの就職では、学歴よりも、年齢や意欲が重視される傾向があります。詳しくは、高卒フリーターにハタラクティブをおすすめする理由で解説しています。
「一生フリーター」でも、やっていける条件はある?
フリーターを続けること自体が、悪いわけではありません。次のような条件がそろっていれば、生活が成り立つ場合もあります。
| 条件 | 注意したいリスク |
|---|---|
| 固定費が低く、生活費が少ない | 物価や家賃が上がると、余裕がなくなる |
| 実家などの、住居費がかからない環境 | 家族の状況が変わると、続かなくなる |
| 健康で、長く働ける | 病気やけがで、働けなくなる可能性がある |
| 貯金や、副収入がある | 貯金が減ると、将来の不安が大きくなる |
| 年金の免除・猶予を、正しく申請している | 将来の年金額は、減る |
どれか一つが崩れても、続けられるか。それを、一度考えてみることをおすすめします。
フリーターのままでいる、メリット
不安な点を中心に書いてきましたが、メリットもあります。
- 時間の調整がしやすく、プライベートを優先できる
- 仕事の責任が、比較的軽い
- 夢や目標に、時間を使いやすい
「期限を決めて、夢に打ち込む」という選び方も、一つの方法です。大切なのは、期限や基準を決めずに、なんとなく続けないことです。
後悔しないための選択肢
| 選択肢 | 特徴 |
|---|---|
| 正社員として就職する | 雇用と収入が安定し、厚生年金・健康保険に入れる。20代・30代なら、未経験を歓迎する求人も多い |
| アルバイト先の正社員登用を目指す | 制度の有無と、登用の基準を確認する |
| 紹介予定派遣から始める | 一定期間働いたあと、直接雇用を前提とする働き方 |
| 派遣社員として働く | 社会保険に加入しやすい。ただし、雇用は不安定 |
| 職業訓練や資格で、スキルを身につける | 時間と費用がかかるが、選べる仕事が広がる |
学歴不問・未経験から目指せる仕事の例
未経験から正社員を目指しやすい仕事には、製造、警備、IT、営業などがあります。
もう一つの選択肢が、ドライバー職です。タクシー、配送、トラック、バスには、未経験を歓迎する求人があり、会社によっては、免許の取得を支援する制度もあります。
ただし、「正社員」と書かれていても、業務委託(個人事業主)の募集が含まれる場合があります。雇用形態は、必ず確認してください。
タクシー、配送、トラック、バスの違いや、見分け方は、フリーターからドライバー正社員は可能かで解説しています。
就職活動の進め方
- 早めに動く:フリーター期間が長いほど、正社員になりにくい傾向があります
- 自己分析をする:自分に合う仕事や、譲れない条件を整理する
- 複数の求人に応募する:1つに絞らず、選択肢を持つ
- エージェントを併用する:書類や面接の相談もできる。2社ほど併用して比較するのがおすすめ
20代の就職に特化したエージェント
ハタラクティブは、20代のフリーター・既卒・第二新卒などの就職を支援するサービスです。未経験歓迎の求人を中心に扱っています。サービスの特徴や注意点は、ハタラクティブの記事で解説しています。
ドライバー職を探すなら
ドライバー職に絞って探すなら、ドライバー特化のサービスも選択肢です。レバジョブは、運転免許の種類や車種などの条件を踏まえて、求人を紹介するとされています。【要確認:対応エリアと、未経験向けの求人】
他のエージェントも比べたい方は、20代フリーターの就職活動におすすめ、転職エージェント一覧をご覧ください。
よくある質問
Q. 30代フリーターの末路は、どうなりますか?
A. 収入の差が開き、年金や社会的信用でも差が出やすくなります。ただし、30代でも、未経験を受け入れる求人はあります。早めに動くほど、選択肢は広がります。
Q. 40代からでも、就職できますか?
A. 条件は厳しくなりますが、年齢が高めの人を支援する窓口やサービスもあります。ハローワークや、サポステなどに相談してみましょう。
Q. 国民年金を払えないときは、どうすればいいですか?
A. 未納のまま放置せず、免除や猶予を申請してください。申請の窓口は、市区町村の役所や年金事務所です。免除や猶予を受けた期間は、障害年金や遺族年金の要件にも数えられます。
Q. 免除を受けた分は、後から納められますか?
A. 10年以内であれば、追納できます。ただし、3年度目以降は加算額が付く場合があります。追納するかどうかは、収入や将来の見込みを考えて、決めましょう。
Q. 何歳まで、就職できますか?
A. 「何歳まで」という決まりはありません。ただし、未経験を歓迎する求人は、20代に多い傾向があります。年齢が高くなるほど、経験やスキルを求められやすくなります。
まとめ
フリーターの将来は、決まっているわけではありません。ただし、収入、就職のしやすさ、年金の3つで、年齢とともに差が開きやすいことは、公的なデータでも確認できます。
- 年金は、払えないときに、未納で放置せず、免除や猶予を申請する
- 将来の年金や社会保険を考えるなら、厚生年金のある仕事に就くことが、一番の近道
- フリーター期間が長いほど、正社員になりにくい。動くなら、選択肢の多い20代・30代のうちが有利
まずは、ご自身の年金の記録を、「ねんきんネット」で確認してみてください。そのうえで、就職を考えるなら、相談できる窓口やエージェントを、使ってみましょう。
